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浦和地方裁判所 昭和52年(わ)1477号 判決

本店所在地

埼玉県春日部市緑町一丁目一四番一三号

名称

太田セロフアン工業株式会社

代表者

代表取締役 太田宣治

本籍

長野県更植市大字八幡二、三六八番地

住居

埼玉県春日部市粕壁東三丁目一二番一八号

会社役員

太田宣治

昭和七年九月二四日生

主文

被告会社太田セロフアン工業株式会社を罰金二、六〇〇万円に、

被告人太田宣治を懲役一年二月に

それぞれ処する。

被告人太田宣治に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人太田セロフアン工業株式会社は、埼玉県春日部市緑町一丁目一四番一三号に本店を置き食品類包装用セロフアン紙の印刷加工業を営むもの、被告人太田宣治は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人太田宣治は、同会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入を計上し、原材料及び仕掛品の棚卸の一部を除外する等の行為により所得の一部を秘匿したうえ、

第一、昭和四八年七月一日から同四九年六月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は三一九、五九三、一五三円で、これに対する法人税額は一二五、九三七、七〇〇円であるのにかかわらず、同年八月三一日春日部市大字粕壁字浜川戸五、四三五番地の一春日部税務署において、同署長に対し、所得金額は五四、四二〇、九九四円で、これに対する法人税額は一九、八九〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、同日の確定申告期限を徒過し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税額一〇六、〇四七、二〇〇円を免れ、

第二、昭和五〇年七月一日から同五一年六月三〇日までの事業年度において、同会社の実際所得金額は九四、三一一、一三三円で、これに対する法人税額は三四、〇八七、九〇〇円であるのにかかわらず、同年八月三一日前記春日部税務署において、同署長に対し、所得金額は三二、一〇一、〇四六円で、これに対する法人税額は九、二二二、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出して、同日の確定申告期限を徒過し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税額二四、八六五、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(二通、52・7・26、8・18付)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(四通、52・6・21、7、17、5・21、5・24付)

一  被告人各作成の答申書(三通、52・6・21、6・21、6・17付)

一  高山貞三(五通、52・6・1、6・22、5・20、5・17、6・7付)、宮原忠則(二通)、永井保(四通、52・5・21、・5・17、5・18、5・31付)、西尾敏捷の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  高山貞三(二通)、永井保、大杉雄三、西尾敏捷、菅谷千代子の各検察官に対する供述調書

一  高山貞三(二通)、宮原忠則、永井保、西尾敏捷各作成の答申書

一  大蔵事務官笹井繁男作成の証明書

一  登記官作成の商業登記簿謄本

一  検察事務官作成の春日部税務署所在地、棚卸金額、原価率、簿外経費に関する各報告書四通

一  大蔵事務官各作成の仕掛品たな卸、原材料たな卸、架空仕入各調査書三通

一  大蔵事務官作成の製品たな卸検討表

判示第一の事実につき

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(52・6・8付)

一  高山貞三の大蔵事務官に対する質問てん末書(52・5・18付)

一  朽木豊秋、柴田達夫、桑原譲(52・5・21付二丁のもの)各作成の各答申書

一  大蔵事務官作成の簿外売上調査書

一  大蔵事務官各作成の三和銀行春日部支店、東海銀行越谷支店に関する各調査関係書類

判示第二の事実につき

一  被告人の検察官に対する各供述調書(二通、52・8・12、8・16付)

一  被告人作成の答申書

一  桑原鏡一郎の検察官に対する供述調書

一  永井保(二通、52・5・27、6・14付)、菅谷千代子、西橋幸夫、横田万亀子、吉岡重治の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  吉岡重治、桑原譲(52・5・21付一丁のもの)各作成の各答申書

一  大蔵事務官各作成の固定資産及び減価償却費、簿外預金受取利息各調査書

一  堀義雄作成の上申書(供述書)

一  検察事務官作成の交際費の損金不算入額に関する報告書

一  大沢藤三郎作成の証明書

(適条)

(被告会社につき)

一、判示各所為 各法人税法一六四条一項、同法一五九条一項(七四条一項二号)、二項。

二、併合罪加重 刑法四五条前段、四八条二項。

三、訴訟費用不負担 刑訴法一八一条一項但書。

(被告人につき)

一、判示各所為 各法人税法一五九条一項(七四条一項二号)、二項。

二、刑種の選択 各懲役刑選択。

三、併合罪加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情重い判示第一の罪の刑に法定加重)

四、執行猶予 同法二五条一項。

五、訴訟費用不負担 刑訴法一八一条一項但書。

立会検察官 望月計介

(裁判官 塩谷雄)

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